夏を越して食べごろに。手前味噌と旬の冬瓜で「頑張らない食養生」

毎年恒例で仕込んでいる、わが家の手作り味噌。
今年も2月に仕込んだお味噌がひと夏を越し、そろそろ食べごろになってきました。
ふたを開けて、まずは味見。
「うん、おいしい!」
毎年作っているのに、この瞬間は毎回ちょっとうれしいものです。
わが家の味噌づくりは「超カンタン」
味噌づくりというと、
大豆を一晩水につけて、
大きなお鍋でコトコト煮て、
柔らかくなった大豆を潰して、
麹と塩を混ぜて……
そんな本格的な工程を思い浮かべる方も多いと思います。
もちろん、それも手作り味噌の醍醐味。
でも、わが家はもっと簡単です(笑)
毎年、お気に入りのお味噌屋さんから蒸してつぶした大豆と糀がセットになった味噌づくりキットを取り寄せて仕込んでいます。
これまでいろいろな方法で味噌を作ってみましたが、結局このキットが一番おいしくて(蒸し大豆なので旨味が凝縮している感じ)、簡単で楽しくて、無理なく続けられる。
最近、この「続けられる」ということが、とても大切なのではないかと思うようになりました。
「全部ちゃんとやる」より「楽しく続ける」
身体にいい食事をする。
発酵食品を取り入れる。
旬のものを食べる。
できるだけ良い素材を選ぶ。
暮らしを整える。
どれも素敵なことですが、毎日完璧にやろうとすると疲れてしまいます。
健康になるための暮らしが、いつの間にか「やらなくてはいけないこと」だらけになってしまったら、なんだか本末転倒。
だったら、
ちょっと手を抜いても、楽しく続けられる方法を選ぶ。
これもひとつの「養生」ではないでしょうか。
私は、そんな養生が好きです。
人間が休んでいる間も、発酵は進んでいる
発酵食品の面白さは、人間が一生懸命頑張らなくても、微生物たちが時間をかけて食べ物を変化させてくれること。
味噌も、仕込んだその日に完成するわけではありません。
麹に由来する酵素や微生物の働きによって、時間とともに大豆のたんぱく質やでんぷんなどが分解され、味や香りが少しずつ変化していきます。
春から夏へ。
気温が上がるにつれて熟成も進み、ひと夏を越えたころには、仕込んだばかりの味噌とは違う深い香りと旨味が生まれてきます。
「時間も調味料のひとつなんだな」
手作り味噌を見るたび、そんなことを感じます。
今が旬。「冬」の字が入る夏野菜、冬瓜
さて、出来上がったばかりの手前味噌で何を作ろう?
今回選んだのは、大きな丸ごとの**冬瓜(とうがん)**です。
「冬の瓜」と書くので冬野菜のようですが、旬は夏。
丸ごとの状態なら比較的長く保存でき、冬まで貯蔵できることから「冬瓜」と呼ばれるようになったといわれています。
水分が多く、淡白な味わいなので、だしや味噌の味をよく含んでくれるのも冬瓜のおいしいところ。
煮ると、とろりと柔らかくなります。
食養生から見た「冬瓜」
中医学や薬膳では、季節と身体を切り離しては考えません。
暑さや湿気の多い夏は、身体にも熱や余分な水分がこもりやすい季節と考えます。
冬瓜は薬膳では、身体にこもった余分な熱を冷まし、水分の巡りを助ける方向の食材として、暑い季節の食養生によく登場します。
ただし、夏の終わりは少し事情が変わります。
暑いからと冷たい飲み物や食べ物をたくさん摂ったり、冷房の効いた部屋で長時間過ごしたり。
真夏とは違う「冷え」や胃腸の疲れを感じることもあります。
そこで今回は、冬瓜を冷たい料理にするのではなく、
冬瓜 × 手前味噌の、温かいお味噌汁に。
生姜やねぎを少し加えるのもおすすめです。
「この食材は身体にいいから食べる」というだけではなく、
季節はどうなのか。
今日の身体はどうなのか。
どんな調理法で食べようか。
そこまで考えてみる。
これが、私が最近とても面白いと感じている「食養生」です。

毎日の台所には「養生の種」がある
養生や薬膳というと、特別な知識や珍しい食材が必要なものに感じるかもしれません。
でも、そんなことはないと思っています。
旬のものを食べる。
発酵の力をいただく。
季節に合わせて調理法を変える。
自分や家族の身体の様子をちょっと観察する。
そして、頑張りすぎない。
そんな小さなことなら、毎日の台所でできます。
昔から受け継がれてきた発酵や食養生の知恵も大切にしながら、今の私たちの暮らしに合う形で、無理なく、楽しく取り入れていく。
そんな「ごきげん養生」を、これから少しずつ探究していきたいと思っています。
今年のお味噌も、おいしく育ってくれました。
まずは旬の冬瓜と一緒に、温かいお味噌汁でいただきます。
季節の恵みと、発酵の恵みに感謝。
今日も、ごちそうさまでした。

